RIE MIYATA
アート写真を最高に楽しめる場所が誕生 「IMA CONCEPT STORE(イマコンセプトストア)」
こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。
近頃はファッションとアートの関係がこれまで以上に親密になっています。画家の作品をそのまま服にプリントしたり、オブジェを思わせるような靴やアクセサリーが登場したり。そういった意味でも、アートの感性を磨くことは、おしゃれのたしなみともなりつつあります。そもそもファッション好きにはアートファンが多いので、自然とミュージアムやギャラリーに足を運ぶ回数が多いようです。実際、美術展の会場では目を惹く着こなしに出会う機会も多く、刺激を受けることも珍しくありません。ドレスアップして出掛ける場としてもミュージアムはうってつけです。
でも、アートを見慣れていない人にはどれから見たらいいのか迷うこともあるでしょう。数あるアートジャンルのうち、割と取っつきやすく、自分流に楽しみやすい点で写真はデビューにおすすめです。何が被写体になっているか分からないケースは多くないので、作品を前にして戸惑うことはないうえ、見た瞬間に何らかの反応が自分の中に起こるから、気持ちに身を任せて素直に作品と向き合えます。
©KOZO TAKAYAMA
写真展や写真ミュージアムもたくさんあって目移りしてしまいますが、2014年3月15日にオープンしたばかりの複合スペース「IMA CONCEPT STORE」(イマコンセプトストア、東京・六本木)」は規模が大きく、いつも何か新しい展覧会が催されているので、早くも写真好き、アートファンが足繁く通うスポットとなりつつあります。
ブログをはじめ、インスタグラムやフェイスブックなどのソーシャルメディアでも写真が大事な表現になっていて、投稿する写真にこだわりを持つ人も増えてきました。写真の世界をもっと深く知れば、日頃のスナップや自分撮りも変わってきます。そこで、今回は写真を最高に楽しめる場所「IMA CONCEPT STORE」の楽しみ方をご案内しましょう。
©KOZO TAKAYAMA
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「IMA CONCEPT STORE」を訪れて最初に感じるのは、その規模の大きさでしょう。
500平方メートルという面積は写真主体の複合スペースとしては都内最大規模。ギャラリー、ブックストア、カフェの3ゾーンがゆるやかにつながっていて、自然な居心地のよさを生んでいます。3つの機能が空間として各ゾーンを行き来できる造りとなっています。「LIVING WITH PHOTOGRAPHY(写真と暮らす)」というテーマを体感しやすい設計になっています。
施設を運営しているのは、雑誌『IMA』やウェブサイト『IMA ONLINE』を手掛けている「IMA メディアプロジェクト」(株式会社アマナ)。写真関連のイベントやセミナーも企画していて、旬な写真家をキュレーションしてくれます。イベントの企画力が優れているのも納得です。アート写真の切り出し方が公立の美術館に比べてぐっとリアルな感じがあり、ライフスタイルの中に写真を位置付けやすいと感じるのも、民間ならではの柔軟な運営の仕組みのお陰かも知れません。写真を趣味にする女性が増える中、「撮り手」目線で写真と付き合う場合でも、ここは頼れるベースキャンプになりそうです。
リアルイベントが充実しています。写真家や表現者のレクチャー、トークショー、ワークショップなどが連日、企画されていて、自分なりの解釈にとどまらず、別の角度や切り口からアートセンスを触発してもらえます。プロのクリエイターは選ぶ言葉も創造的で、単に写真を見るといったレベルを超えて知的なインスピレーションを受ける機会を与えてくれそう。見方や制作意図が分かってくると、さらに次の展覧会が楽しみになってきます。このようなアート写真との接点をプロデュースする場が「IMA gallery」です。年の8~9回の展覧会を予定しており、現在は6月8日(日)まで、川内倫子×テリ・ワイフェンバック「Gift」展を開催しています。
©KOZO TAKAYAMA
アート写真の楽しみ方は展覧会にとどまりません。自宅に置いて、いつでも眺められる写真集は最も身近な写真との付き合い方の1つ。本のたたずまい自体が美しいので、インテリアとして生かしている人も珍しくありません。こちらのブックストア「IMA books」には大小様々な出版社の写真集がそろえられていて、写真集の「今」がつかめます。写真集は表紙を眺めているだけでも、直感的に何かが飛び込んで来るから、このショップは全身でアートを体感できる貴重な場所。表紙で興味を持って写真を買うところから始まる写真家との偶然のめぐり逢いも期待できます。ギフトにも向き、写真集の他にもオリジナル・グッズもあるので、プレゼントに困ったらここに駆け込むという手もありそうです。
©KOZO TAKAYAMA
©KOZO TAKAYAMA
残るもう1つのゾーンが飲食スペースの「IMA cafe」。監修している「OBSCURA COFFEE ROASTERS(オブスキュラ コーヒー ロースターズ)」はスペシャリティコーヒーに強みを持ち、豆の仕入れや焙煎など、コーヒーが出来上がるプロセスを一貫して自社で手掛けているそうです。コーヒーだって「飲むアート」の仲間入りです。シーズンごとに世界各地から取り寄せた旬のコーヒーを味わえます。ショップで買ったばかりの写真集のページをめくりながら、極上のコーヒーを味わい、丸ごとアートに抱かれた非日常のひとときに。
©KOZO TAKAYAMA
「IMA gallery」ではアート写真を購入もできるので、自宅に写真アートを迎えるきっかけにもなります。手描き絵画や彫刻に比べ、写真作品は価格面で割と手頃なケースもあり、「アートと暮らす」生活にもデビューしやすくなっています。ショップでも写真集以外に写真家やクリエイターとのコラボレーション商品を販売していて、今の「アート×ファッション」の気分になじむ品が見付かります。
写真には「撮る」をはじめ、「見る」「買う」「飾る」など、いろいろな楽しみ方があります。これらに加えて、「読む」「学ぶ」などの知的な味わい方も提案されていて、さらに空間全体で「浸る」、コーヒーと一緒に「味わう」という愉楽にも誘われます。そして、見逃せない役割が、鑑賞者、購入者としてフォトグラファーを「育てる」という働き。多面的な写真体験を通して、自分の美意識を「養う」といううれしいリターンももらえるから、ここで「暮らす」というライフスタイルには時間を投資したくなりそうです。
IMA CONCEPT STORE
住所 東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3階
営業時間 11:00~22:00(定休日なし)
電話 03-5572-7144
http://imaconceptstore.jp