RIE MIYATA
香水とLBD(リトル・ブラックドレス)でレディライクに
こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。
パーティーやイベントが多くなるシーズンとなり、おしゃれを楽しむ機会も増えてきました。ただ、身にまとうのは、服だけではありません。香りもおしゃれの大事な要素。日本は欧米に比べ、香水をつける習慣が薄いとされてきましたが、近年は「香りの装い」として香水を好む人が増えてきています。今回はクリスマスシーズンを前に香水の魅力に迫ります。
一般に「香水」と呼ばれる商品にも、実はいくつかの種類があります。「フレグランス」というのは、香りを楽しむアイテムの総称。香水全般を指すこともありますが、部屋に置いて使うアロマキャンドルやポプリなどは「ルームフレグランス」と呼んで区別しています。
香水は「濃さ」の違いで大きく4種類に分けられます。「濃さ」は香料の濃度を示す賦香率(ふこうりつ)で表されます。一般には香料が濃いほど、強く長く香るとされますが、実際にはそれぞれの香料の性質によって異なり、一概に賦香率が高いから、香りが長続きするとは言えません。あくまでも目安と考えたほうがよいでしょう。
賦香率の高いほうから順に「パルファム」「オーデパルファム」「オーデトワレ」「オーデコロン」の4種類があります。私たちが買い求める一般的な売り場では「オーデパルファム」「オーデトワレ」が主流のようです。
みなさんは香水をつける場合、どこにつけていますか。一般的には耳のうしろ、手首、腕の内側などにつける人が多いようです。それら以外では肘(ひじ)や腰も効果的だそうですが、私のおすすめは足首。歩くたびにほのかに香る感じが好きです。ただ、注意が必要なのは、服に直接つけないこと。シミや変色の心配があります。
「GIVENCHY(ジバンシイ)」の「オードモワゼル フローラル オーデトワレ」は「朝露に煌(きら)めく空想のバラ」を香りで表現しています。「高貴な美しさ」「女性の芯の強さ」「究極のエレガンス」といった、クチュールブランドである「ジバンシイ」の精神を写し取ったかのような香り。気高い美しさと意思の強さをあわせもつ現代女性のイメージはそのままに、香り立つフレッシュなフローラルノートが、純粋で繊細なロマンティシズムへと誘います。
香水の香りは時間とともにうつろっていきます。つけた最初の香りがトップノートで、その後、ミドルノートからラストノートへと変化します。「オードモワゼル フローラル」の場合、トップノートがペアー(洋梨)、ウォータリージャスミンで、ミドルノートはワイルドローズ、ラストノートはブロンドウッド、ムスクです。
ありがちな失敗は、ミドルノートを利かせたかったのに、つけるのが早すぎてパーティーの大事な時間帯にはラストノートになっていたといった、タイミングのずれ。家を出る時点でつけると、狙ったタイミングをはずしてしまいやすいので、会場に到着してから時間を見計らってつけ直すような工夫が必要です。
パーティーシーンを意識するなら、装いの面でも視線に耐える服を用意したくなります。欧米でそういった場面で最も頼りになる服とされるのが「LBD」。これは「Little Black Dress」の略。比較的シンプルな短め丈の黒ワンピースのことです。余計な飾りを抑えつつ、淑女の気品を漂わせるリトル・ブラックドレスは大人女性のワードローブに1着は備えておくべきものといわれます。
歴史上、最も有名なLBDと言えば、映画『ティファニーで朝食を』(1961年)で主人公のホリー役を演じたオードリー・ヘプバーンが着たLBDでしょう。映画の冒頭、ニューヨークの高級ジュエラー「ティファニー」の前でタクシーを降り、ショーウインドーをのぞき込むシーンのために仕立てられたこのドレスのうちの1着は2006年にオークションにかけられ、映画の衣装としては当時の史上最高額となる約9300万円で落札されました。
この有名なLBDをデザインしたのは、「ジバンシィ」の創業デザイナーであるユベール・ド・ジバンシィでした。ジバンシィはオードリーとの親交が深く、映画『麗しのサブリナ』『シャレード』などの衣装も手掛けています。『ローマの休日』の王女役で知られるオードリーは今なお品格レディーのシンボルとされますが、そのイメージをファッションの面で決定づけたのが、オーソドックスで気品のあるデザインを得意としたジバンシィと言えるでしょう。
リトル・ブラックドレスが広く支持される理由のひとつは、アクセサリーやメイク次第で自分好みに雰囲気をアレンジしやすいところ。各種セレモ二ーから普段使いシーンまで幅広く着こなせます。流行に影響されないので、愛着の持てる1枚として長く着続けられるのも、そのシンプルさゆえ。ただし、飾り気が薄い分、仕立てのよしあしが一目で分かってしまうので、納得できる1着をじっくり吟味して買いたいものです。
ジュエリーを添えることによって、LBDは様々な表情を見せてくれます。『ティファニーで朝食を』でオードリーが見せたように、パールのネックレスを重ねると、ノーブル感が引き立ちます。パールの清楚なきらめきが全体に気高さをまとわせてくれます。
パールをあしらったペンダントを選べば、胸元に視線を招き入れて、黒と白の絶妙なコントラストがさらに際立ちます。メタリックなチェーンのつやめきも装いに華やぎを添えてくれそう。耳飾りやブローチもパール系で合わせることで、LBDの黒の深みが増して、レディーライクなムードに。
人前に出る機会が増えるこの時期にあわせ、「ガリャルダガランテ」ではクリスマスフェアを開催します。リトル・ブラックドレスを豊富にそろえ、パーティーシーズンにふさわしい装いをサポート。LBDを自分好みにアレンジするうえで欠かせないジュエリーもラインアップ。1年を通じて自在に着こなせるLBDの世界に誘います。
そして、おしゃれの仕上げには香水をプラスして。「ジバンシイ」の「オードモワゼル フローラル」なら、エレガントな着姿にふさわしい香りをまとっえるはずです。納得の香りと素敵なLBDに包まれて、ヘプバーン気分を楽しんでみてはいかがでしょう。