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RIE MIYATA

新しいスタイルが生まれる「ニューヨーク・ファッション」とは?

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(c)Rie Miyata

こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。

ガリャルダカランテの2015春夏テーマは「THE NEW ESSENTIALS for New Yorker’s wardrobe」。刺激と活気にあふれた街、ニューヨークに暮らす女性のスタイルから着想を得ています(展示会リポートはこちら)。

http://www.gallardagalante.com/?p=2204

「ニューヨークはファッションの発火点」とよく言われますが、そもそもなぜNYだけが特別なのでしょうか。確かにパリやミラノなど、コレクション発表の舞台になっている都市はいくつかあります。でも、そこに暮らす人達の仕事、出身、好みなどのバリエーションがNYは格段に広く、その分、おしゃれの選択肢も豊富。着こなし自由度の面でも、NYは圧倒的に柔軟性が高いので、新しいスタイルが生まれやすいのです。

とりわけ、自立した女性、しかも仕事を持ち、自分流の生き方を選び取っている女性の多さはNYの際立った個性と言えるでしょう。日本にも飛び火したカップケーキやクロナッツ、コールドプレスなどのフードカルチャーがフロムNYなのも、それらを支持する女性達がいるからこそ。かつてテレビドラマ『SEX and the CITY』で話題を集め、後に『ゴシップガール』でも描かれたようなパーティー好きでリッチな富裕層も暮らしていて、街全体の華やぎをさらに高めています。

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(c)Rie Miyata

そういったアップタウンのきらびやかな生活が別世界のように思える、オン・ザ・ストリートの現実が同居するのもNYの大都市としての顔つきを深くしています。ヒップホップやグラフィティ(落書き)アートに象徴される、ストリートカルチャーの太さは、NYファッションのインスピレーションソースであり続けています。ロングトレンド化しつつある「スポーティーシック」がNYから発信されたのは、決して偶然ではありません。最新モードが発信される一方で、ヴィンテージ、古着の文化も根付いていて、NYファッショニスタの間では、新作と組み合わせる形でヴィンテージや古着をまとう「新旧ミックス」が浸透しています。

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ビジネスシーンのフロントロウに立つエグゼクティブ女性の多さもアメリカの経済首都NYならでは。オフィスで動きやすく、実用性を持ちつつ、そのままパーティーやディナーに場所を変えても様になる大人感も備えているという、ちょっとわがままなニーズに応える格好で、ミニマルできれいめな着姿を特徴とする独特のモードが形成されてきました。実用性重視と言われがちなNYモードですが、必ずしも面白みを欠いているわけではなく、ちゃんとフェミニンやセクシーなどの要素も盛り込まれています。

自分流の着こなしに明確な「軸」を持つ「ノームコア」が話題を集めましたが、芯をぶれさせないという意味ではNY式のスタイリングに通じるところがあります。ノームコアはその「頑固度」が別格ですが、一般的なニューヨーカーはそこまでワンスタイルに固執しないで、シーンや気分に合わせてくつろぎやプライベート感を加減し、こなれた着姿に整えています。こういった力みを感じさせない操り方はオントレンドの「エフォートレス」につながるところがあります。

おしゃれの常識をあえて踏み越えるリスクテイカー(挑戦者)が多い点もNYファッションがさびない理由。厚物と薄手を重ね着するような、季節の約束事を破る「シーズンレス」の着こなしも、ランウェイで披露される以前からNYでは街でよく見掛けていました。実際、夏にロングコートを着ている人、反対に真冬でもTシャツ、透ける素材、サンダルの人も。これも一種の「自分流」と言えるでしょう。

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富裕層が多く住み、トップブランドが軒を連ねる南側のアップタウンと、ストリートのやんちゃムードや大学生カルチャー、たくましい生活感などが入り交じる北側のダウンタウンでは、かなり街の雰囲気が異なります。その両方を行き来するニューヨーカーの間で、ラグジュアリーとカジュアルを組み合わせた「ハイ&ロー」のミックスコーディネートが広まったのは、自然な成り行きと映ります。それも価格やブランドイメージに惑わされない、ニューヨーカーの芯の強さを証明しています。

NYを特別な場所にしている理由の1つに、セレブリティーの存在が挙げられます。刺激に満ちたこの街には、エンターテインメントやアートの世界で名を知られたセレブが大勢住んでいて、街の景色に溶け込んでいます。先日もNYコレクションの期間中、街中を歩いていたら、あのウディ・アレン監督にばったり遭遇しました。

アートや音楽、デザインなどの分野で活躍するたくさんのクリエイターが集う街にはいつもエネルギーと好奇心があふれています。ファッションも表現と考える彼らのライフスタイルはNYモードにも新鮮なアイデアをもたらしてきました。マンハッタンだけではなく、ブルックリンをはじめとする近隣地区にも若きクリエイターが拠点を構えるようになって、さらに新たなムーブメントが起きています。摩天楼に象徴されるマンハッタンの上昇志向とは違った、穏やかでフレンドリーなムード、地に足の着いた生活感などがブルックリンから持ち込まれるようになってきました。

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(c)Rie Miyata

「ハイ&ロー」「オールド&ニュー」「オン&オフ」「マニッシュ&フェミニン」――。いずれも相反するテイストの真逆系ミックスですが、NYでは不思議と自然に映ります。街自体がいくつもの顔を持ち自由が着こなしが受け入れられ、住民がお互いにそれを認め合っているところに、この街らしさがあります。そんなNYに「ガリャルダガランテ」もフォーカス。2015年はNY感覚のおしゃれをさらにガランテらしいアレンジでご紹介していきます。まずは春の立ち上がりから、新顔アイテムが相次いで登場しますので、店頭での出会いを楽しみにしていてくださいね。

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