RIE MIYATA
2015-16秋冬「ガリャルダカランテ」展示会リポート
こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。
夏物のおしゃれを楽しんでいらっしゃる時期かと思いますが、ファッション業界ではすでに秋冬シーズンの準備が進んでいます。ということで今回は恒例の「ガリャルダガランテ」シーズン先取り展示会リポートです。これから開催されるトランクショーや受注会に向けて、今から流れをつかんでおいて、素敵な秋冬アイテムをワードローブに迎えましょう。
秋冬の全体的なテーマは「Nostalgic Simplicity ~ somewhere in the world」。どこか懐かしげでありながら、洗練されたシンプルが、「自分」をしっかり持つ都市女性の輪郭を際立たせます。全体を構成する3本のサブテーマは「Urban New Folklore」「Comfort Chic」そして「Retro Feminine」。グローバルトレンドの70年代テイストを取り入れつつ、ニューヨーカー流の自在なアレンジを利かせます。心地よい装いを追い求め、ニットアウターやブランケットで心までくるまれるような安らぎを提案。パリジェンヌ風のレイヤードを組み立てます。レングスの異なるアイテムを引き合わせて丈違いミックスに昇華。表情が豊かで、弾むようなリズムを宿した装いに導きます。
掛け巻き物は今度の秋冬でも大事なムードメーカー。こちらのフリンジ付きショールは広げてアウターのようにまとえます。春夏にガウチョがヒットした太めパンツは秋冬も勢いが持続。センタープレスが折り目正しいワイドパンツはシーンフリーに重宝しそう。スリーブレス・トップスを重ねて軽快に着こなして。帽子に光が当たる秋冬はストーリーを感じさせるシルエットを選びたいもの。足元はスニーカーでヌケ感をアピール。
ざっくりニットは不動の主軸プレーヤー。今度の秋冬ではタートルネックがキーアイテムになりそう。それも並のタートルではなく、あごがすっぽり埋まるほどの高いハイネックが目を惹くディテールに。スヌード部分を付け外し自在にしたのは、2WAY、3WAYがお得意な「ガリャルダガランテ」ならでは。70年代ブームの追い風もあって復活がめざましいデニムには、ムートンのアウターを重ねてリッチな風情に。
アウターに新顔が登場するのも、来秋冬のトピックス。たとえば、こちらのようにカーディガンとコートの長所を兼ね備えた「コーディガン」はマストハブ級の新アイテム。カーディガンらしい穏やかな風合いと、コートのきちんと感がダブルで備わっているので、コーデの幅が広がります。ゆったりフォルムで朗らかにボディーラインを包むアウターはウインタールックに伸びやかさと気品を寄り添わせます。
肩の力を抜いた「エフォートレス」のテイストはロングトレンド化してきました。見るからにリラクシングなニットは肌越しに心までくつろがせてくれます。フロント側が短い前上がりの着丈は、前後の変化が出せます。レイヤードの味付けにも深みが出ます。センタープレスの利いたワイドパンツは、アイシーなさめたウォーターカラー。秋冬にこういった涼やかな色味を投入するのが「シーズンレス」の手法。たっぷり幅の裾折り返しも余裕を感じさせます。
ミリタリーも勢いを保ちますが、テイストの風向きが変わり、フェミニン気分が濃くなります。シンボルカラーのオリーブやカーキを使いながらも、ミリタリー風味のシャツにファーを斜めがけすれば、互いの持ち味がさらに引き立つはず。ミリタリーとは別のムードを引き合わせるのが、こなれたスタイリングへの近道。カーキパンツもきれいめに整えて。大人っぽい見栄えのメッセージ・カットソーを重ねて、マニッシュ感を遠ざけています。
ヒッピーに通じるボヘミアンやフォークロアも秋冬に見逃せないテイスト。ほんのり薄口で取り入れるなら、小物を選択肢に。アイコニックなフリンジも、服よりバッグやシューズのほうが取り入れやすくなります。ストールやスカーフも、70年代気分をきれいめに迎え入れるうえで役に立ちます。
ワイドパンツを生かすには、裾の開き具合を印象づけるシューズが肝心。足首を程よく露出できるショートブーツは、脚の細感を目に飛び込ませることができます。ミドル丈のブーツは70年代ムードを連れてきます。足首あたりで切り替えを施したタイプは視線を引き込んで、脚をすっきり見せてくれそう。バッグはレザー製がスタンダードですが、洋服に使われる素材であるツイードは静かな格上感を醸し出します。ぬくもりイメージを帯びたニットのクラッチバッグもやさしい着姿に誘います。
恒例の「ガリャルダガランテ」スタッフ勢ぞろいショット(左から、プレスマネージャーの高田洋子さん、バイヤーの伊藤文恵さん、守屋初音さん、プレスの初瀬里香さん)。秋冬の必須アイテムになりそうなワイドパンツ、デニム、ファーベスト、フリンジバッグ、つば広帽子、ロングジレをまとって、さすがの着こなし。70年代の受け入れでは、このような控えめの濃度とシック感重視のまとめ方が大切になります。「ガリャルダガランテ」の秋冬シーズンは秋本番を前に立ち上がる予定ですから、秋物入荷のメルマガを見逃さないようにして、今から楽しみにしていてくださいね。