RIE MIYATA
一足早く2017プレスプリングを着こなす
こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。
いよいよ年末が近づいてきて、街ではコート主体の防寒ルックが真っ盛りですが、早くもプレスプリングのコレクションが出番を迎えつつあります。「プレスプリング」というのは、2017年の春夏要素を取り入れたマルチシーズン・コレクションのこと。つまり、冬から夏にかけて長く着られるという、うれしくも頼もしい存在。しかも、ファッション好きの人にとっては春夏トレンドのエッセンスを一足早く着こなしに取り入れられるという点でも、メリットの多いアイテム。だから、めざといおしゃれ上手たちは毎年、心待ちにしていて、実際、またたく間に売り切れてしまう場合が多いのです。もちろん、「GALLARDAGALANTE(ガリャルダガランテ)」も力を入れています。そこで、今回は、ガリャルダガランテの2017プレスプリングをご紹介しましょう。
17年のファッションは全体的にフレッシュで若々しい気分に彩られます。そのチアフルなムードを映して、ガリャルダガランテが提案する色はイエローやアクアブルー。明るさとヌケ感を調和させたトーンは自在のアレンジに誘います。さらに褐色系を加え、深みを出しました。スタイリングではウエストマークを利かせたレイヤードがおすすめ。量感の豊かなアイテムを上下で組み合わせたボリュームコーディネート、ロング丈トップスとワイドパンツのコンビネーションなど、動きのある着姿を用意しました。つややかな質感が勢いづくトレンドを先取りして、サテン系のパンツも投入。ポジティブな装いに導いています。では、続けて実際のコーデとアイテムを見ていきましょう。
(KNIT 19,000円+TAX PANTS 25,000円+TAX 全てGALLARDAGALANTE SHOES 私物)
目の覚めるようなジューシーイエローのタートルニットが春を招き入れるかのよう。冬のうちからスプリングムードをまとうのが、着こなし上級者のお約束。季節感を裏切る「シーズンレス」のトレンドも背中を押してくれます。ニット生地はラム素材だから、軽くて暖かい。冬の寒い日も、春先の花冷えもしっかりブロックしてくれそう。アクティブなテイストの「アスレジャー」を取り入れた袖のラインが軽快な着映え。一瞬、マキシ丈スカートと見間違えそうなワイドパンツもサイドラインがトラックパンツ風でスポーティー。バイカラー(2色使い)がシャープなうえ、サテン素材のシャイニー感が全体を重たく見せていません。
(KNIT 25,000円+TAX PANTS 17,000円+TAX SHOES 22,000円+TAX 全てGALLARDAGALANTE)
マリンルックは夏の定番で、冬は季節違いとおもわれがちですが、シーズンレスの大波はマリン調ボーダーさえも冬ルックにお引っ越しさせました。主張が強くなる流れを受けて、こちらのロング丈のニットは極太のボーダーを迎え入れています。着丈は長めですが、V襟が深いので、夏までさわやかに着られそう。共布のサッシュベルトは自然体で垂らせば、オントレンドのガウンルック風に。ロング丈トップスとワイドパンツは、「長×幅」のバランス感が余裕を漂わせます。足元にはポインテッドトゥのミュールで合わせて、ノーブル感を添えて。色数を抑えて、量感の遊びを引き立てるスタイリングです。
(KNIT 23,000円+TAX PANTS 16,000円+TAX 全てGALLARDAGALANTE SHOES SAMPLE)
この春夏のおしゃれは、これまで「脇役」だったパーツにウィットが注ぎ込まれます。たとえば、袖。ひじから先が大胆に広がったフレア袖が優美なシルエットを描き出します。こちらのアランニットはきれいな編み地だから、1枚でさらりと着こなしたくなります。背中にデコラティブ要素が盛り込まれるのも、来春夏の目立った動き。こちらも肩甲骨から背骨に掛けてのゾーンに窓を開けて、健康的な素肌を露出。背中側からの視線を受け止めています。白のワイドデニムは裾広がりの形で、ブーツカットのラインがきれい。袖のフレアと響き合って、大人っぽいゆとり感が漂います。ややハイウエストに仕立ててあるところも今のトレンドになじんでいます。
(BLOUSE 21,000円+TAX PANTS 17,000円+TAX 全てGALLARDAGALANTE SHOES SAMPLE)
袖にドラマを持ち込んだのが、こちらのコットンブラウス。袖の先に向かって鐘のように広がるベルスリーブはロマンティックな風情。どこかクラシカルな雰囲気もあって、着姿に落ち着いたムードが加わります。しかも、ひじから上を細く見せてくれる効果も期待できます。ベージュ色のチノは相性にすぐれ、マッチングに苦労しません。共布のベルトをキュッと結んでさりげなくウエストマーク。実は今度の春夏は服のあちこちに結び目をこしらえるディテールがブームになりそうな気配で、その味付けも取り込める仕掛け。背中の肌見せ窓も程よく開いています。先ほどのボーダートップスに合わせたのと色違いのワイドパンツは内側が起毛素材で、今から重宝する暖かさ。外側はつや感を帯びていて、シーズンをまたいで着回しやすくなっています。
(OUTER 58,000円+TAX SK 26,000円+TAX PANTS 16,000+TAX 全てGALLARDAGALANTE SHOES 22,000円+TAX)
「レイヤードは17年春夏おしゃれのメインテーマ。もともとは秋冬の代表的な着こなしでしたが、春夏に楽しむのが新しい流儀です。こちらの重層的なボトムスはデニムのワイドパンツの上から、レースのサーキュラー(円形)スカートをオン。フェミニンなスカートの裾下から、程よく色落ちしたインディゴジーンズがたっぷりのぞいて、ボトムスの雰囲気をジェンダーミックスに仕上げています。そこに重ねたのは、ビッグシルエットのウール地アウター。あえて袖を通さないで肩掛けにして、ボリューミーな着姿をさらに強調。着やせイメージを巧みに引き出しています。涼やかなブルー系を効かせた春トーンのカラーリングに整えました。
2017プレスプリングの装いはいかがでしたか? 2017年はファッションをもっと楽しもうというメッセージが世界的なトレンドになっていきます。デコラティブ(装飾的)なディテールやユニークなフォルムを生かした着こなしが軸になります。ガリャルダガランテでも、少しひねりを感じるアイテムが増えています。しゃれや遊びが利いている分、手持ちアイテムから別の表情を引き出しやすくなります。自分らしい着こなしを楽しむための「引き出し」が多いのに加え、ほぼ年間を通じて長く着られて、お得感も高いから、プレスプリングコレクションはやはり見逃せません。ガリャルダガランテのプレスプリングは来春夏のエッセンスをいち早く写し込んでいて、早く自分流に使いこなしたい気持ちに誘います。
2016年もコラムをお読みいただき、ありがとうございました。皆様にとって素敵な年末年始となりますよう。良いお年をお迎えください。来年もこちらのコラムででお会いしましょう。