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RIE MIYATA

ヴィンテージアイテムを着こなす極意 オンリーワンの着こなしへの近道

こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。

時を経ても色あせないおしゃれが支持を広げています。一般に「TIMELESS」と呼ばれる感覚で、そのキーになるのは、時を重ねた「ヴィンテージ」です。「GALLARDAGALNTE(ガリャルダガランテ)」のルミネ新宿店」の月替わりブース「SERENDIPITY(セレンディピティ)」も2月のテーマは「TIMELESS」。選りすぐりのヴィンテージアイテムを、オリジナルアイテム、セレクトアイテムと共に取りそろえています。そこで、今回は私の私物を含めヴィンテージの魅力に迫ってみたいと思います。

◆シーンやテーマに合わせてコーディネート

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「シャネル」のデザイナーとして有名なカール・ラガーフェルド氏は写真家としても高い評価を得ています。その彼の写真展が東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで開催されました。「太陽の宮殿 ヴェルサイユの光と影」と名付けられている通り、ヴェルサイユ宮殿をモノクロで撮った写真が集められています。この日の私はヴィンテージ主体のスタイリング。写真に合わせてモノトーン系でまとめたので、クラシックな宮殿の風景にうまくなじんでくれました。上から順に帽子は「Bloomingdale’s(ブルーミングデールズ)」、マントはブランド不明、パンツは「Missoni(ミッソーニ)」で、いずれもヴィンテージです。ボーダー柄のニットトップスの袖をマントからのぞかせ、動きをプラス。プラットフォーム(厚底)のシューズが軽やかさを添えています。

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歴史的なムードを帯びたシチュエーションにはヴィンテージが似合います。東京国立博物館・表慶館で開催(2015年11月)された「アート オブ ブルガリ 130年にわたるイタリアの美の至宝」展でのスタイリングがこちら。ブルガリの時計とブランドイメージカラーのエメラルドグリーンを意識して、時計モチーフ付きのベルトとグリーンのイヤリングを身につけていきました。どちらもヴィンテージ。羽織っているファーのストールもヴィンテージのもので、上からベルトでマーク。こういうテーマに沿った自分なりのドレスアップを、手持ちアイテムから組み立てるプロセスも、大事な日の気分を盛り上げてくれます。

◆アクセサリーや小物は扱いやすい

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リアルファーを買い求める場合はヴィンテージがお得です。こちらのファーティペット(私物)はミンク。こういった高級ファーはヴィンテージならでは。今ではなかなか手に入らない貴重な素材を割安で手に入れることができます。重ねてきた歳月を感じさせるタイムレスな風合いは装いに風格を添えてくれます。

ベレー帽の人気が続いていますが、こちらのベレー帽はチャーム付きのヴィンテージ。犬や魚、太陽、星、花、葉っぱ、野球帽、本など統一感のない様々なチャームがあしらわれています。もう5年ほど前にNYで購入したものですが、最近また引っ張り出して使っています。

エメラルドグリーンのバングルはアンティークゴールドにデコラティブなモチーフが配してあります。コスチュームジュエリーらしい飾り気が装いを盛り立ててくれます。あえてカジュアルな着こなしに交わらせると、こなれ感が出ます。

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「G」マークが印象的な「GUCCI(グッチ)」のバッグ。年を重ねた服はほつれや傷みが気になりますが、バッグ類は老舗ブランドのものであればもともと作りがしっかりしているうえ、高級品ほど大事に使われているものが多いので、割と状態のよいものもあります。斜め掛けにすると短めになるところがお気に入りです。

アイキャッチーなベルトはこの春夏の人気急上昇アイテムです。時計モチーフはなかなかのアイデア。ファッションに冒険心が豊かだった時代のユニークで独創的なアート風デザインに出会ったら、手に入れておくのがおすすめ。ヴィンテージ物の小物やアクセサリーは流行に関係なく使えるので、長く重宝します。自分らしいセンスを出しやすい点でも使いでがあります。

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グリーンのストールはヨーロピアンなゴールド刺繍に惹かれて購入しました。首に巻くと、顔周りにゴールド刺繍の華やぎが加わります。生地がウールなので、ばさっとブランケットのように羽織る使い方もできます。手仕事技の継承が難しくなる中、手の込んだ刺繍はヴィンテージで見付けたい「お宝ディテール」となっています。

メイド・イン・メキシコのベルトもバックルに刺繍が入っています。実はこちらはセレクトリサイクルショップの「PASS THE BATON(パスザバトン)」で元 ピチカート・ファイヴの野宮真貴さんの私物を購入したものです。「ついつい奇抜なものに目がいってしまいます。」という野宮さんのコメント付き。メキシコは今春夏のトレンドとしても浮上しているので、程よく取り入れたいところです。

フラワーモチーフを組み込んだネックレスはエスニックな表情。こちらもどこかメキシコを感じさせるようなコスチュームジュエリー。海辺のムードが盛り上がるこの春夏に登場させたいアイテム。しばらくアクセサリーボックスの中で眠っていたものですが、今シーズンは日の目を見せてあげられそうです。やわらかいピンクも今の気分を感じさせます。

「SONIA RYKIEL(ソニア リキエル)」のハットはソニアの代名詞的なマルチカラーのボーダー柄がチアフルでシック。リゾート先でも気分が上がりそう。今は亡きソニアのオリジナリティを感じ取れる点でも価値の高いアイテム。買っておいてよかったと後から思える魅力もヴィンテージにはあります。

◆当時の貴重なディテール

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今は大量生産の時代になっているので、かつてのようなハンドメイドのディテールは貴重と言えます。当時の持ち主が自前で施したDIY的なカスタマイズも味わい深く映ります。近頃はワッペンやピンバッジなども人気が再燃。ヴィンテージや古着はDIYの残り香も見どころです。こちらのレザーベストも昔のワッペンのかわいらしさに魅せられました。瓶のふたをバッジやボタンのように付けるアイデアも面白い。ワッペンやバッジのポジションが無造作っぽいのも「味」になっています。レースアップのスエードレザーのベストはカウンターカルチャー風で今年らしいムード。ヴィンテージや古着は使い古した風情があるので、手持ちワードローブに交わらせるだけこなれた着映えに仕上がります。

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ビーズのフリンジが前後にどっさり付いたプレイフルなブーツ。これを履いて歩くと、ビーズ同士がぶつかり合ってジャラジャラと音がするのですが、それもご愛嬌。使い込んだスエードレザーのくたっとした風合いが着こなしに落ち着きを寄り添わせてくれます。ブーツに限らず、ライダースジャケットやバッグなど、レザーでこしらえた品は経年変化が楽しめるので、ヴィンテージを買うメリットにもなっています。

パッチワーク、フリンジ、チャームなど、ヴィンテージや古着には今のアイテムとはひと味違ったディテールの魅力があります。手に取って選ぶ際には、シンプルなデザインよりも、やや凝った見栄え、手の込んだ仕上げのものを選ぶと、手持ち服のアクセントになって、これまでとは印象の異なるスタイリングに整えやすくなります。

◆アウターは品質や状態を吟味して

私が持っているヴィンテージや古着のうち、数が最も多いのは、アウターかも知れません。それにはいくつか理由があります。第一に薄手のブラウスやワンピースに比べて、長い時が経過しても痛みにくいので、状態のよい品に巡り会いやすいから。パリやニューヨークなど、ヴィンテージショップが集まる街は割と寒い都市が多いという事情もあります。富裕層が多く暮らす街に上質なヴィンテージが集まる傾向があり、収納場所を取るファーやコートなどが売りに出されやすいというのも、アウターがそろう理由のひとつです。ただし、購入する前の状態チェックはやはり欠かせません。とりわけファスナーやボタンといったパーツは故障が起きやすいので、実際に動かしたり留め外ししたりしてみましょう。

アウターは値段の面でお得感が高い点も買いたくなる理由。レザーやファー、シルクといった上質素材の場合はさらに割安になります。現代のファッションデザイナーも過去のアーカイヴから着想を得ることも多いほど、昔のデザインには優れたものが多いのです。だから、今では手に入りにくいアウターを持っていると、着こなしを素敵にアレンジできます。最近はシーズンレスが広がってきて、さらにいろいろなシーンで使えそうです。今回は私物の中から以下の3点をご紹介しましょう。

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「CHANEL(シャネル)」のキルティングブルゾンはパリのヴィンテージショップで一目惚れした逸品です。たくさんの色を使った光沢のあるマルチカラーの市松模様がつややかな生地との相乗効果を生んで、あでやかな着映えに。ブルゾンはスポーティーなイメージがありますが、トップブランドならではの華やぎがあって装いに深みが出せます。

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「Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン)」のコートは、ゆったりとロールした広い襟と袖がクラシックなたたずまい。実はこちらはフェイクファー。リアルファーに比べて遊び心や若々しさを感じさせる雰囲気が醸し出されています。こういう自然な年代感はなかなか今では出せません。ゼブラ風のアニマルモチーフがワイルド感を醸し出しています。肩口と打ち合わせの縁にトリミングが施してあり、単調に見えません。正面の裾はゆるやかに曲線を描いていて、重ね着をエレガントに見せてくれます。この冬に何度も着ましたが、「それ、かわいいコートですね」と、着ているたびにちょくちょく褒められます。

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パリ流シックの着こなしを得意とし、「ユニクロ」とのコラボレーションも手がけるオシャレ達人のイネス・ド・ラ・フレサンジュさん。彼女の自らの名前を冠したファッションブランドが1990年代にありました。こちらはパリの古着屋さんで見つけました。コートは穏やかな裾広がりのAラインがいかにもイネス好み。腕を動かしやすい袖の取り付け方にも目配りが利いています。鮮やかな赤は重たく見えがちな冬ファッションを色めかせてくれます。ボタンの質がいいところも気に入っています。

◆ヴィンテージで「My story」のある着こなしに

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本来はヴィンテージを1、2点だけ取り入れるのがおすすめのコーディネート術です。現代の服とのムードの違いがはっきり出やすいからです。でも、今回はTシャツ以外をあえてヴィンテージでそろえてみました。スカーフは「Pierre Balmain(ピエール バルマン)」、花柄のハイウエストのパンツは「KENZO(ケンゾー)」(70年代でしょうか)、デニムジャケットは「Levi’s (リーバイス)」、帽子は「Bloomingdale’s(ブルーミングデールズ)」、クラッチバッグはイタリアブランド「VARON」(おそらく70年代)、シューズは「PETRA Firenze」(80年代頃)。そして、Tシャツはガリャルダガランテから。ファッションアイコンのギャランス・ドレさんの「My story My fashion」というメッセージが今回の自分らしいスタイリングにぴったりだと思い、合わせてみました。

ヴィンテージには「発見」の楽しさがあります。後で調べてみると、ブランドやデザイナーのエピソードがわかったり、同じようなアイテムを持っている人の着こなしが見つかったり。ショップではまるで宝探しのような気分を味わえそう。時空を越えたアイテムは着姿に世界で唯一のオリジナリティをまとわせてくれます。流行に左右されないから、長く愛着を持ってつきあえるのもヴィンテージのよさです。自分の好きなテイストの品を、トレンドに関係なく選んでみるのも楽しいものです。

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セレンディピティではバッグ、スカーフ、アクセサリーなどをそろえ、2017年2月1日~27日の間、ヴィンテージの魅力に触れられるイベントを催します。ヴィンテージを1点、加えるだけで、手持ちウエアから別の表情を引き出せるから、まずはアクセサリーや小物を中心にそろえてみてはいかがでしょう。この機会に「古くて新しい仲間」をワードローブに迎えてみませんか。

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