2013. 07. 26 2013-14秋冬トレンド「フェミニン×マスキュリン」を制覇するコツ こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。 2013-14秋冬ファッショントレンドの1つは、ここ数シーズンにわたって続いている「フェミニン×マスキュリン」の発展形。ロングトレンドの延長線上にはあるのですが、今季ならではの新スタイリングや素材感も加わって、表情がさらに深くなっています。今回は一足早くこのトレンドの新傾向をご紹介。秋物チョイスのヒントになるネクストムーブメントをつかんで、賢いショッピングやコーデに役立ててください。 ◆ブラック×ホワイト すべてMARISSA WEBB 2013-14秋冬NYコレクション (c)Rie Miyata 黒と白を引き合わせるストイック(禁欲的)な色使いは、フェミニン×マスキュリンを手早く組み上げる王道的選択。トップスに白、ボトムスに黒を持ってくると、キリッと引き締まったシルエットを印象づけやすくなります。ただし、13-14秋冬の方向感は、あまりマニッシュに寄せすぎない、フェミニン風味が濃いめのバランス。ニットやハイヒールで女らしさを漂わせる目配りが大切になります。黒のパンツを選ぶ場合は、異なる素材感が際立つジャケットや羽織り物を選ぶと、大人のムードを引き出すことができます。 ◆レディライク×デカダン すべてMARISSA WEBB 2013-14秋冬NYコレクション (c)Rie Miyata 秋冬は、クラシカルだけど現代的なダブルミーニングの着こなしに注目。これまでのレディライクはどちらかと言うと古風で正統派のトーンが強かったのですが、今シーズンは、甘さを控えめにした代わりに、どことなく退廃的(デカダン)なムードを引き寄せるのがこれまでにない新発想。型通りでありきたりのレディライクを抜け出し、少しダークで危うい気配を忍び込ませるのがキーポイントとなります。例えばボウタイブラウスやワンピースなどのオーソドックスなアイテムを軸に据えつつ、肩掛けジャケットやロングブーツ、白タイツなどで、ゴスまではいかないダークファンタジーを薫らせるミックステイストが新鮮さを感じさせます。 ◆ドラマティックなチェック柄 左から、Steven Alan、Rachel Zoe、MATHIEU MIRANO、MARISSA WEBB 2013-14秋冬NYコレクション (c)Rie Miyata チェック柄は何年にも及ぶロングトレンドになっています。でも、よく見ると、かつてはボーイッシュだったものが、近頃は英国紳士風になり、柄サイズも大きな格子へといった変化が生じています。もともと男性的なイメージが強いだけに、チェック物を差し込むだけで「フェミニン×マスキュリン」に寄せやすくなりますが、妙に男の子っぽく見えないよう、女性らしさを示すアイテムをうまく添えるさじ加減がマスト。首周りにスカーフやストールを巻いたり、スカートで合わせたりといった工夫が効果大。ボディーコンシャスなフォルムを選んだり、赤系で色目を整えたりというアレンジも、チェック柄に優しい雰囲気を寄り添わせます。 ◆エフォートレス&ネオスポーティ 左から、Clover Canyon、Monika Chiang、Rachel Zoe、Steven Alan 2013-14秋冬NYコレクション (c)Rie Miyata 「ヌケ感」「ハズし」はおしゃれ上手の鉄則的なスタイリングとなってきました。頑張りすぎない、必死感を出さないコーデは、大人の余裕やくつろぎムードをまとわせてくれます。欧米ブランドでも「エフォートレス」という表現で、この感覚を打ち出すところが増えています。ボリュームニットやふんわりボトムスで無雑作感や空気感を引き出すコーデは、量感でメリハリを際立たせるのがコツ。少しゆるっとしたトップスを上手に使うと、こなれた着姿に仕上がります。エフォートレスよりもアスレティックな軽やかさや躍動感を高めたネオスポーティという新トレンドも見逃せません。ミリタリー系ジャケットやベースボールキャップ、スニーカーなどの男の子っぽいものをミックス。でも、クラッチバッグや上下セットアップで着崩さないトーンコントロールを利かせて。 ◆ビッグorマスキュリンアウター 左から、Steven Alan、Steven Alan、MARISSA WEBB、Rachel Zoe 2013-14秋冬NYコレクション (c)Rie Miyata 実際の身体サイズよりも大きめの服をまとうビッグシルエット、オーバーサイズは人気がさらに加速しそうな気配。実物以上に着やせしてみせてくれる華奢度アップのトリッキーな装いです。ブカッとした着姿にまとまりがちですが、ビッグアウターにフェミニンなワンピースを合わせると、穏やかなムードが濃くなり、モコモコ感も薄れます。手首やくるぶし回りのような細い部分をさりげなく露出するのが、ヌーディーに細感をアピールする小技。トレンチコートやチェスターフィールドコート、ロングカーデなどに、スキニーパンツやポインテッドトゥシューズなどを合わせてフェミニンに着こなして。 ◆ファー、ムートン、レザー 左から、Rachel Zoe、Monika Chiang、MARISSA WEBB、J. Mendel 2013-14秋冬NYコレクション (c)Rie Miyata ファーやレザーは例年にもまして豊作。毛皮にくるまれているかのような重たい着姿は過去の話。今シーズンのファー&レザーはさらにパーシャル(部分)使いが進化し、軽やかなたたずまいに。毛足の長いシャギーなタイプが街角を華やがせそう。カラーリングを施したり、毛先をカール処理したファーも登場し、表情は一段と深くなっています。ほっこり顔のムートンは、コートに着負けしがちな冬場に朗らかなムードを呼び込んでくれます。ボヘミアン風やロック調などのテイストになじむレザーも増えて、幅広い着こなしに落とし込んで楽しめそうです。 2013-14秋冬トレンドの筆頭格に上げられる「フェミニン×マスキュリン」は、このようにいろいろなアレンジが組み立てられるから、自分らしいコーデを見付けやすいでしょう。マニッシュの流れは知っていても、これまではもうひとつ乗り気になれなかった人にも、少し女性寄りに傾いた今季は試しやすいタイミングになるはず。すでに取り入れ済みの人にとっても、趣が変わる今季は新アレンジを試みるチャンス。今から秋のおしゃれをインプットして、ジェンダーを踏み越えるプチ冒険の扉を開けてみてくださいね。 |