2013. 08. 23 おしゃれセンスと恋愛哲学に深みをもたらす秋の映画『ムード・インディゴ〜うたかたの日々〜』 (c)Brio Films - Studiocanal - France 2 Cinema All rights reserved こんにちは。ファッションジャーナリストの宮田理江です。 大好きな映画として名前を挙げる女性が少なくない傑作『アメリ』(2001年)。その主演女優で、映画『ダ・ヴィンチ・コード』(2006年)でもヒロインを演じたフランス女優、オドレイ・トトゥの主演最新作『ムード・インディゴ〜うたかたの日々〜』がこの秋、10月5日(土)からの公開を控えています。 1946年に発表された小説を原作とするこの映画には、レトロでフレンチシックな装いがたくさん登場します。2013-14秋冬のファッショントレンドや、「ガリャルダガランテ」の提案する秋冬スタイルにも通じるところが多いこの映画を通して、お手本にしたい着こなしのヒントをもらえそうです。 悲劇系ラブストーリー映画の新たな名作が誕生しました。原作の小説『日々の泡』は「永遠の恋愛小説」と呼ばれて読み継がれてきました。『うたかたの日々』という訳題もあります。日本でも漫画家・岡崎京子氏がファッション誌『CUTiE』に連載した『うたかたの日々』で漫画化しました。永瀬正敏、ともさかりえ主演の映画『クロエ』(2001年)の下敷きにもなっています。 著者のフランス人作家、ボリス・ヴィアン(1920〜59年)は、今なおカルト的な支持を受ける書き手で、作家や翻訳者としての顔以外に、ジャズトランペット奏者としても知られています。『うたかたの日々』の序文にも、ジャズの巨人、デューク・エリントンの名前を挙げています。 今回の映画版が『ムード・インディゴ』と題されているのも、エリントンの有名な曲『ムード・インディゴ』にちなんで。「恋人がいなくなってから、心はいつも藍色(インディゴ)に染まっている」という曲のイメージも、映画のストーリーと重なり合っています。 (c)Brio Films - Studiocanal - France 2 Cinema All rights reserved 映画の舞台はパリ。はっきりした時代設定はされていませんが、衣装や暮らしぶりなどからは、1960〜70年代の雰囲気が伝わってきます。青年コラン(ロマン・デュリス)は、働かなくても裕福に暮らせる財産を持っていて、自由に生きていたある日、無垢な性格の女性、クロエ(オドレイ・トトゥ)と出会い、恋に落ちます。 友人たちの祝福を受けて、盛大な結婚式を挙げ、2人は幸せこの上ない新婚生活へ。しかし、その幸福の絶頂は長続きしませんでした。肺に睡蓮が芽吹くという、奇妙な病にクロエが冒されてしまったからです。 花に埋もれていれば、クロエは生き永らえることができると分かり、安穏な生活を捨てて懸命に働き始めるコラン。これまでと違う不思議な人間関係もコランを悩ませます。でも、クロエの病状は一向に回復へ向かわず、徐々に衰弱が進んでいきます。クロエを救おうと手を尽くすコラン。愛し合う2人にはかなく残酷な結末が近づいていました――。 (c)Brio Films - Studiocanal - France 2 Cinema All rights reserved 映画の後半では病の床に就いてしまうクロエですが、コランとの出会いから新婚生活までの部分では、ピュアでキュートなキャラクターを物語るようなおしゃれを披露しています。カクテルをつくるピアノや、恋人たちを運ぶ雲など、幻想的な仕掛けが次々と登場するこの物語にふさわしく、クロエの装いもファンタジーをまとっています。 タイトルの「うたかた」とは「泡」という意味。その言葉のイメージを表現したような、水中で泡に包まれたシーンでは、極薄のシースルー・ドレスで透明感を強調。デコルテの素肌に浮かび上がるようなレース刺繍がノーブル感を引き寄せています。 (c)Brio Films - Studiocanal - France 2 Cinema All rights reserved (c)Brio Films - Studiocanal - France 2 Cinema All rights reserved スケート靴を首に掛けたショットでは、フェミニンなワンピースに、英国紳士風のトレンチコートを重ねて、「フェミニン×マニッシュ」のお手本的着こなしを披露。メンズテイストを拝借するスタイリングは既にここ数年のロングトレンドになっていますが、13-14秋冬はたおやかなムードを濃くするのが、新しい流れです。 ワンピースの丈を長めにとって、コート裾下にのぞかせたり、逆にコートより短い丈のボトムスを合わせたりと、丈違いの錯覚を生かすと、縦に長い着姿を目に焼き付けることができます。コートの前を開けて、色・柄を際立たせるテクニックはぜひ使いこなしたいものです。ちょっとノスタルジックな色や柄のワンピースを選ぶのも、今季のトレンドでもあるレトロムードになじむチョイスとなりそうです。 やや古風なシルエットは人気が復活しつつあります。この数シーズン人気を博していたパンツからシフトし、膝丈のワンピやスカートは、ショートパンツやマイクロミニなどの見慣れたボトムスの春夏からの移ろいを優美に印象づけてくれます。首の詰まったフォルムや、飾り立てないカッティングなども分別を感じさせる、大人良識ルックの大事な要素。1950年代テイストが見直される傾向にもあり、懐古趣味的なアレンジを着こなしに取り入れるのがこの秋冬は支持されそう。 (c)Brio Films - Studiocanal - France 2 Cinema All rights reserved スケート場での場面では、さらにレトロな装いに。赤いスカートが少女的でコケットな雰囲気を醸し出しています。白の厚手タイツも女学生っぽいムードを演出。白の毛糸手袋と響き合って、メルヘンで愛らしい装いです。真後ろでキュッと束ねたポニーテールも復活の兆し。初々しさやアクティブ感を引き立てる上、イメージチェンジの効果も発揮してくれます。 (c)Brio Films - Studiocanal - France 2 Cinema All rights reserved ロックな気分やチェック柄はともにこの秋冬を彩る新トレンド。つやめいた黒革やケミカルなパテント(エナメル)、濡れたように光沢豊かなビニールなどの異素材感を生かす着こなしがポイントに。ジップのメタリックな輝き、きらめきアクセサリーのグリッターも秋冬の装いを華やがせてくれるから、映画のシーンに注目です。 ブラック×ホワイトの色合わせの装いもさらに勢いづくから、映画に登場するモノトーン・ルックの手なずけ方を早めにマスターしておけば、秋冬のおしゃれがさらに楽しめそうです。 また、ウエディングを象徴する白一色のドレスの普段使いも広がってきました。とりわけ秋冬は黒系のジャケットやライダースなどのアウターの内側にホワイトルックを忍ばせておき、ドラマティックなアウターオフの瞬間を演出するサプライズな着こなしがオススメです。秋冬に不足しがちな透明感やクリーンさを増幅する上でも、また着ぶくれ防止の点でも、白×黒や、薄手素材×アウターなどのミックスはマスターしておくといいでしょう。 至福感と切なさ。両極の間で揺れる2人のストーリーは、一緒に見る相手の恋愛観や人生哲学に触れるチャンスにもなってくれそう。映画『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』を撮ったミシェル・ゴンドリー監督のリリカルで幻想的な世界に浸ると、人生のはかなさを感じると同時に、愛と時間の価値をあらためて意識させられます。 秋冬シーズンの「ガリャルダガランテ」ではこの映画のムードに通じるようなテイストのアイテムが店頭デビューを待ち構えていまので、秋物の立ち上がりから新作を見逃さないよう、ショップに足を運んで、映画に行けば、恋愛観とおしゃれの感性に磨きが掛かることでしょう。 『ムード・インディゴ〜うたかたの日々〜』10月5日(土)より、新宿バルト9・シネマライズほかでロードショーhttp://moodindigo-movie.com/(c)Brio Films - Studiocanal - France 2 Cinema All rights reserved そして今回ガリャルダガランテの公式フェイスブックページを」「いいね!」してくれた方に、映画『ムード・インディゴ〜うたかたの日々〜』の試写会を抽選で5組10名様にプレゼント致します!応募は8月30日(金)までとなっておりますので是非皆様下記URLよりご応募下さい。↓ http://mpme.jp/pal/c.p?02ceOhI1BSu |